ミトコンドリア母性遺伝の仕組み解明=難病治療に期待―群馬大 ― 2011年10月21日 10時34分50秒
身体の細胞内でエネルギーをつくり出す小器官、ミトコンドリアのDNAが母方からのみ子に受け継がれるのは、細胞内の組織を自ら分解し除去する「オート
ファジー(自食作用)」と呼ばれる働きによって、受精直後に父方のミトコンドリアが分解され、消滅するためであることが分かった。群馬大生体調節研究所の
佐藤健教授と妻の美由紀助教が線虫の細胞で突き止め、米科学誌サイエンス電子版に14日発表した。
研究成果は、変異したミトコンドリアの蓄積が一因とされるパーキンソン病やアルツハイマー病などの難病の治療法の究明に役立つと期待される。
ミトコンドリアDNAをめぐっては、母方のみ子に受け継がれる「母性遺伝」と判明しており、この特徴を利用してヒトのミトコンドリアDNAを数十万年前 までたどると、アフリカの女性に行き着くとされる「ミトコンドリア・イブ説」が知られている。だが、父方のミトコンドリアが受精卵内でどのように分解され るかは分かっていなかった。
佐藤教授らは、体長1ミリで体が透明な線虫の精子内のミトコンドリアとオートファジーの際に細胞内に現れる膜を蛍光染色して観察したところ、受精直後に受精卵内で、父方のミトコンドリアが膜に取り囲まれて分解され、徐々に消滅する様子が確認された。
なぜ父方のミトコンドリアだけが分解されるのかは謎だが、佐藤教授によると、精子内のミトコンドリアは卵子にたどり着く頃には疲弊して機能が低下し、受精段階で有害なものと認識されてオートファジーが働く説などが考えられるという。
ミトコンドリアDNAをめぐっては、母方のみ子に受け継がれる「母性遺伝」と判明しており、この特徴を利用してヒトのミトコンドリアDNAを数十万年前 までたどると、アフリカの女性に行き着くとされる「ミトコンドリア・イブ説」が知られている。だが、父方のミトコンドリアが受精卵内でどのように分解され るかは分かっていなかった。
佐藤教授らは、体長1ミリで体が透明な線虫の精子内のミトコンドリアとオートファジーの際に細胞内に現れる膜を蛍光染色して観察したところ、受精直後に受精卵内で、父方のミトコンドリアが膜に取り囲まれて分解され、徐々に消滅する様子が確認された。
なぜ父方のミトコンドリアだけが分解されるのかは謎だが、佐藤教授によると、精子内のミトコンドリアは卵子にたどり着く頃には疲弊して機能が低下し、受精段階で有害なものと認識されてオートファジーが働く説などが考えられるという。